最高裁判所第一小法廷 昭和54年(マ)73号 決定
抗告人
喜元武次
主文
本件抗告を却下する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
特別抗告書によれば、本件抗告の理由は、抗告人が抗告人を原告、国を被告とする損害賠償請求訴訟事件において右事件を審理する阿倍野簡易裁判所に対し被告国の訴訟代理人につきその代理権を証する書面の提出を求める書証の申出をしたところ、同裁判所はこれに対する裁判をすることなく弁論を終結したので、抗告人は更に大阪高等裁判所に即時抗告をしたにもかかわらず、これにつきなんらの裁判がされないので、本件特別抗告に及んだ、というのである。しかしながら、特別抗告は、不服の対象である裁判が存在することを前提とするものであるところ、抗告人の前記主張によつても、本件抗告の対象となる大阪高等裁判所の裁判はされていないのであるから、本件抗告はその対象を欠くものとして不適法であることが明らかである。
よつて、民訴法四一九条ノ二、四一九条ノ三、四〇九条ノ二第一項、四〇九条ノ三、三九九条ノ三、三九九条一項一号により本件抗告を却下することとし、抗告費用について同法九五条、八九条を適用して、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。
(中村治朗 団藤重光 藤崎萬里 本山亨 戸田弘)